
意識は抵抗する。無意識を活用する
◯ 現状の自分からは見えない「現状の外」
コーチングは、アドバイスによって人を変えるものではありません。
正しい問いで答えを誘導するものでもありません。
まして、コーチがゴールを与えるものでもありません。
ゴールとは、本人が心から望むものです。
誰かに言われたから目指すものでも、社会的に立派だから選ぶものでもありません。
自分の内側から湧き上がってくるもの。
しかも、それは現状の内側にはありません。
今の自分の延長線上では、まだ見えない場所にあります。
だからこそ、セルフコーチングでは多くの方がここで矛盾を感じます。
「自分で設定するゴールなのに、今の自分からは見えない」
ここが、いちばん大切なところです。
◯ 変わりたいのに、変わりたくない
人は変化を求めながら、変化を嫌います。
頭では変わりたい。
でも、身体は今まで通りでいようとする。
意識は、よく抵抗します。
「本当にそれでいいのか」
「失敗したらどうするのか」
「今さら遅いのではないか」
そうやって、もっともらしい理由を並べて、変わらない自分を守ろうとします。
だから、無意識が鍵を握ります。
お腹が空けば自然に食事をするように。
眠くなれば自然に眠りに向かうように。
ゴールに向かうことも、そのくらい自然になればいいのです。
「変化しなさい」と言われれば、人は抵抗します。
けれど、どうしても向かいたい未来があれば、人は自然に動き始めます。
義務ではなく、衝動になります。
努力ではなく、日常になります。
だからこそ、日頃から自分の want to をよく観察することが大切です。
本当は何に惹かれているのか。
何を見ると胸が動くのか。
何をしている時、時間を忘れるのか。
多くの人は、want to を押し殺しています。
押し殺していることさえ忘れるほど、長い間、自分の望みを後回しにしています。
◯ セルフコーチングとは、自分を応援すること
セルフコーチングとは、自分が自分のコーチになることです。
だからまず、徹底的に自分の味方になる必要があります。
過去の失敗を責める人ではなく、
まだ見えていない未来を信じる人として、
自分の隣に立つのです。
仕事だけではありません。
健康、人間関係、学び、趣味、家族、社会への貢献、経済、表現活動。
人生のあらゆる方位にゴールを設定します。
どこかひとつだけを無理に変えようとすると、苦しくなります。
けれど、人生全体にゴールが立ち始めると、日々の意味が変わっていきます。
◯ 未来から現在を見る
ゴール設定は、未来を決める行為です。
そして同時に、現在の意味を変える行為でもあります。
今の自分を否定する必要はありません。
否定するのではなく、向かっている自分として肯定するのです。
「わたしは今、ゴールに向かっている」
この言葉を、何度も思い出してください。
過去の失敗を反芻しそうになった時。
人と比べて焦りそうになった時。
まだ何も変わっていないように見える時。
その代わりに、この言葉を反芻してください。
「わたしは今、ゴールに向かっている」
胸を張って。
誇らしい気持ちで。
まだ到達していなくてもいいのです。
向かっていること自体が、すでに新しい自己イメージをつくり始めています。
◯ 見えないものが見え始める
セルフコーチングの時間は、とても大切です。
多くの時間、私たちは自分自身と向き合います。
ただ、不思議なことに、人はひとりでは見えないものを、ある臨場感の中では急に見始めることがあります。
誰かに答えを教えられたわけではない。
何かを指示されたわけでもない。
それなのに、今まで気にも留めなかった可能性が、急に目の前に立ち上がってくる。
本当はずっと気になっていたこと。
やりたいとまでは意識していなかったこと。
すっかり忘れていた夢。
それらが、新しい未来の光に照らされて、今の自分にとっての意味を持ち始めることがあります。
人は、見ている世界の中で生きています。
だから、見える世界が変われば、自然に行動も変わります。
以前の自分なら選ばなかったことを選び始める。
それは、無理やり変わったのではありません。
未来側の自分が、現在の自分を迎えに来ているのです。
◯ 常にゴールを見直す
ゴールは、一度決めたら終わりではありません。
常に見直します。
本当に want to なのか。
現状の外にあるのか。
達成後の世界に、心地よい情動があるのか。
その世界にいる自分は、どんな表情をしているのか。
誰と一緒にいるのか。
どんな一日を過ごしているのか。
そうやって、ゴールの臨場感を高めていきます。
すると、いつの間にか前に進んでいる自分を発見します。
最初に設定したゴールが、気づけば通過点になっていることもあります。
それでいいのです。
ゴールは、固定された目的地ではありません。
未来の自分が、今の自分を引き上げるための光です。
◯ 無意識で向かい、無意識に迎える
私たちは、変化を求めながら変化を嫌うものです。
だからこそ、意識の力だけで自分を変えようとしなくていいのです。
無意識でゴールに向かえるようにする。
そのために、自分の want to を観察する。
人生のあらゆる方位にゴールを設定する。
“向かうこと”そのものを肯定する。
そして、自分の圧倒的な味方であり続ける。
「わたしは今、ゴールに向かっている」
この言葉を、日々の中に置いてください。
やがて、今は遠くに見える未来が、少しずつ当たり前の感覚に変わっていきます。
がんばって変わるのではありません。
未来の自分にふさわしい選択を、自然に重ねていくのです。
意識的に無意識を活用し、
無意識で向かい、
無意識に迎えていく。
その歩みは、もう始まっています。
Synth-A Coaching 代表
苫米地式コーチング認定コーチ
横田正男

